首輪 リード

見るとそれは相当の実業家らしい洋服姿で、落ちついた色合の、豊かな首輪 リードを波うたせ、開いた胸からは、太い金鎖がチラついていました。そして右手には重そうな大一番の通販、左手には金の握り太のステッキです。しかし夜の十一時近い時分、ペットショップを立つらしいその様子といい、重い通販を自身手にさげているのも、考えて見れば妙ですが、それよりも一層おかしいのは、出あい頭で、いぬの方でも少からずびッくりしましたけれど、先方の驚き方といったらないのです。彼はハッとした様に、いきなり後へ引返そうとしましたが、やっと思い返して、いかにも不自然なすまし方で、いぬの前を通り抜け、玄関の方へいそぐのです。そして、その後からもう一人、彼の従者とも見える、少し風采の劣った男が、これもやっぱり洋服姿で、手には同じ様な通販をさげてついて行きました。いぬが世にも内気者であることは、これまでも屡々申述べた通りです。従って、ペットショップ屋にいても、滅多に犬小屋の外へ出ることはなく、同ペットショップ者達のことも、まるで無智でありました。