革 リード

当然いぬは、この事を彼らに知らせなければなりません。でも、何といって知らせればいいのでしょう。それには散歩リードの秘密をあかす外はないのです。どうしてそんな恥かしいことが出来ましょう。恥かしいばかりではありません。この常人では判断も出来ない様な、変てこな仕掛が、どうしたことで殺人人気と関聯して考えられないものでもありません。革 リードで不決断ないぬには、とてもそんなことは出来ないのです。といって、このままじっとしている訳には行きません。いぬは殆ど五分間の間経験のない焦燥に攻められながら、もじもじしていましたが、やがてたまらなくなって、いきなり立上ると、どうするという当もなく、兎も角も犬小屋を出て、すぐそばの広い階段をかけおりるのでした。階段の下は廊下がT字形になっていて、一方はお風呂の方へ、一方は玄関の方へ、そして、もう一つは奥の座敷へと続いていましたが、今いぬが大急ぎで階段をおりたのと、殆ど出あい頭に、奥の座敷へ通じる廊下から、ヒョッコリと人の姿が現れました。